コヘルツ論文セレクション 
小児心臓・集中治療に関わる研究を簡単かつ少しだけ読み込んで紹介するブログ
呼吸

低侵襲僧帽弁手術後の片側性肺水腫:10年の経験

Puehler T, Friedrich C, Lutter G, Kornhuber M, Salem M, Schoettler J, Ernst M, Saad M, Seoudy H, Frank D, Schoeneich F, Cremer J, Haneya A.

Outcome of Unilateral Pulmonary Edema after Minimal-Invasive Mitral Valve Surgery: 10-Year Follow-Up.

J Clin Med. 2021 May 29;10(11):2411. doi: 10.3390/jcm10112411. PMID: 34072399; PMCID: PMC8198899.

背景

  • Minimally invasive cardiac surgery (MICS)は、側開胸で行う創部の小さい低侵襲心臓手術である。
  • 術中は片肺換気を要し、人工心肺離脱後に、片肺肺水腫(Unilateral pulmonary edema: UPE)を呈することがある。
  • UPEの短期・長期的予後を評価した。

要点

  • 単施設、後ろ向き研究
  • Primary outcomeは術後24時間以内のUPE(胸写で診断)。Secondary outcomesは30日と長期死亡率、ECLSの使用。
  • n=393。72名(18.3%)が術後24時間以内にUPEとなった。6名(8.3%)がECMOを要した。腎機能、左室機能、肺高血圧、術中輸血、大動脈遮断時間は、UPE発症の危険因子であった。死亡率はUPE群の方が高かったが、有意差なし(4.2% vs. 1.6%, p=0.17)。

Figure 2. 一年あたりのUPE発生率

注意点・コメント

  • MICS術後のUPEは、ECMOを要することも稀ではないことを示した研究。症例報告が多い中、貴重なデータ解析。
  • (統計学的有意ではないが)年々UPEが減っている(Figure 2)理由は不明だが、手術時間の低下や麻酔方法の変化もあるのだろう。
  • UPEとnon-UPEで生存曲線・Cox regressionで有意差ない。もちろんサンプルサイズの小ささは一因であろうが、年齢やCOPD、心機能はしっかりと危険因子となっていることをみると、UPE自体は極期を乗り切れさえすれば、予後は悪くないのだろう。
ABOUT ME
木村聡
小児心臓麻酔や集中治療に関わる文献を、浅く、でも少しだけ掘り下げて紹介したいと思います。