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循環

CABG時の心筋保護液(通常のBlood cardioplegia vs. Del Nido)と術後の心房細動

Sanrı US, Özsin KK, Toktaş F, Yavuz Ş.

Comparison of Del Nido Cardioplegia and Blood Cardioplegia in Terms of Development of Postoperative Atrial Fibrillation in Patients Undergoing Isolated Coronary Artery Bypass Grafting.

Braz J Cardiovasc Surg. 2021 Apr 1;36(2):158-164. doi: 10.21470/1678-9741-2020-0047. PMID: 34048202; PMCID: PMC8163282.

背景

  • Blood cardioplegia (BC)は、細胞外心筋保護液であり、15-30分という短時間作用である。
  • 細胞内心筋保護液は長時間作用型である。
  • Del Nido cardioplegia (DNC)は細胞外心筋保護液の一種であるが、マグネシウム・マンニトール・リドカインを含んでおり、90分程度の長時間作用型である。
  • 小児で用いられてきたDNCであるが、成人でも用いられてきている。

要点

  • 単施設、後ろ向き研究、CABG、成人
  • n=255。DNC (n=132)とBC (n=123)を比較。Primary outcomeは術後の心房細動。
  • 術後心房細動と病院滞在日数は有意にBC群で高かった。多変量解析では心筋保護液投与量のみが心房細動発生の予測因子。

Table 1. 心筋保護液の組成

注意点・コメント

  • どのようにDNCとBCを選択しているかの記載がない。すなわち、交絡因子となりうる因子が不明。
  • 患者背景に差がないとしているが、術中の吻合箇所や大動脈遮断時間に有意差あり。すなわち、難しい手術にBCを、簡単な手術にDNCを使っている可能性があるが、これらをconfounderとして考慮していない。
  • そもそも多変量解析でBC vs. DNCが変数として入っていない。すなわち、DNCの有効性を評価した研究ではなく、術後の心房細動発生をpredictしただけ。
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木村聡
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