コヘルツ論文セレクション 
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呼吸

小児心臓外科術後の横隔神経麻痺に対する保存的加療のアウトカム

Denamur S, Chenouard A, Lefort B, Baron O, Neville P, Baruteau A, Joram N, Chantreuil J, Bourgoin P.

Outcome analysis of a conservative approach to diaphragmatic paralysis following congenital cardiac surgery in neonates and infants: a bicentric retrospective study.

Interact Cardiovasc Thorac Surg. 2021 May 17:ivab123. doi: 10.1093/icvts/ivab123. Epub ahead of print. PMID: 34000037.

背景

  • 小児心臓外科術後の合併症の一つとして、横隔神経麻痺が挙げられ、呼吸器離脱困難や再挿管、無気肺や肺炎と関連がある。
  • 自然に軽快することもあるが、縫縮術(plication)を要することもある。
  • 保存的加療の失敗因子は不明。

要点

  • 二施設、後ろ向き研究、小児心臓手術を施行された新生児と乳児、術後横隔神経麻痺の診断(横隔膜挙上、超音波で横隔膜の不動または奇異性運動)
  • 保存的加療や横隔膜縫縮術を選択するタイミングや、保存的加療でうまくいかなかった(unsuccessful case)の危険因子を調査。
  • n=51。年齢の中央値は日齢12。32名(63%)で保存的加療が成功。21日以上の人工呼吸器と、胸写で2肋骨以上の横隔膜左右差は、保存的加療失敗の危険因子。

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注意点・コメント

  • あくまで二施設の方針を元に、現状を観察しただけの研究であり、本結果をもって「保存的加療失敗の危険因子」を見つけるのは困難。例えば、「21日以上の人工呼吸器や胸写で2肋骨以上の横隔膜左右差が保存的加療失敗の危険因子」とあるが、それはそれらの施設でこのような患者にplicationを施行しただけの話。臨床医の「選択」を「失敗」と結びつけるのには無理がある。
  • ただし、現状の観察という意味では面白い。例えば、63%もの患者がplicationせずに保存的加療のみで軽快するというのは興味深い。彼らの保存的観察期間の中央値は15日前後か。
  • なぜKaplan-Meierの生存曲線まで使っておいて、Cox regressionではなくlogistic regressionを用いているのか、理由が不明瞭。
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木村聡
小児心臓麻酔や集中治療に関わる文献を、浅く、でも少しだけ掘り下げて紹介したいと思います。