Bianchi P, Constantine A, Costola G, Mele S, Shore D, Dimopoulos K, Aw TC.
Ultra-Fast-Track Extubation in Adult Congenital Heart Surgery.
J Am Heart Assoc. 2021 Jun;10(11):e020201. doi: 10.1161/JAHA.120.020201. Epub 2021 May 17. PMID: 33998289.
背景
- 小児の心臓手術後に早期抜管が予後改善と関係したという報告は多い。
- Adult congenitalといわれる、成人の先天心に関しての早期抜管に関するエビデンスは乏しい。
要点
- 単施設、後ろ向き研究、先天性心疾患を持つ成人(16歳以上)
- 手術室抜管のEarly extubation (EE)と、それ以外のconventional extubation (CE)を比較。Coarsened exact matching (CEM)とpropensity score matching (PSM)という二つのmatching methodsを用いて解析。
- 698名で711手術。CEMにおいて、EE群で平均VISが有意に低く(0.5 vs. 2.0, p<0.0001)、輸液バランスが有意に少なかった(847ml vs. 1168ml, p=0.0002)。 PSMでも同様の結果。
Figure. 平均VIS (A)、最大VIS (B)、輸液バランスの比較

注意点・コメント
- 抜管した方が鎮静剤を減らせるし、心血管作動薬や輸液量が少なくてすむという、臨床的には納得の結果。逆に、当たり前で驚くことでもない。当然のことをadult congenitalでも調べました、という研究。むしろ、早期抜管できるのか否かの臨床的判断が大切。後ろ向きであり、「早期抜管できる状態であったから早期抜管した」という可能性を否定するのはかなり難しい。
- 実際、年齢や性別、ACHS scrore、PHの有無を元にマッチングを施行されているが、術前の腎機能、大動脈クロスクランプ時間、術中出血量といった、手術室抜管をするか否かの判断材料となりconfounderとなりうる因子は考慮されていない。
- マッチングの結果、たしかに手術時間やeGFRに有意差なしとなっているが、マッチング後のnは100程度であり、0.1以下のp値のみ記載しているのはただの検出力不足をマスクしているとも考えられる。
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