コヘルツ論文セレクション 
小児心臓・集中治療に関わる研究を簡単かつ少しだけ読み込んで紹介するブログ

術後の脳酸素飽和度と知能

Carra G, Flechet M, Jacobs A, Verstraete S, Vlasselaers D, Desmet L, Van Cleemput H, Wouters P, Vanhorebeek I, Van den Berghe G, Güiza F, Meyfroidt G.

Postoperative Cerebral Oxygen Saturation in Children After Congenital Cardiac Surgery and Long-Term Total Intelligence Quotient: A Prospective Observational Study.

Crit Care Med. 2021 Jun 1;49(6):967-976. doi: 10.1097/CCM.0000000000004852. PMID: 33591016; PMCID: PMC8132917.

背景

  • 小児心臓の生存率という予後は年々改善されているが、脳神経の発達は次なる課題。
  • NIRSを用いた脳酸素飽和度低下は、PICU滞在期間や死亡率といった短期予後と関連。
  • 脳酸素飽和度と長期的な脳神経予後との関連は不明。

要点

  • 単施設、前向き観察研究、先天心術後、PICU入室時人工呼吸器使用、12歳未満。
  • 術後12時間・24時間の脳酸素飽和度(平均値、65%未満となるdose: intensity & duration)と、2年後のIntelligence quotient (IQ)の関連を比較。Bayesian multivariable linear regressionを使用。
  • n=87。術後脳酸素飽和度の平均・doseともに、2年後のIQ低下と関連。 

Figure 1. 脳酸素飽和度の推移の例

注意点・コメント

  • チアノーゼ疾患と非チアノーゼ疾患を一緒に解析している。低酸素のチアノーゼ疾患によるeffect modificationの可能性を無視。
  • 術前・術後入院期間、手術回数、教育の質や時間など、調整されていないconfounderが沢山ある。脳酸素飽和度低下がIQ低下の一つのpredictorにはなりそうであるが、IQ低下に影響を及ぼすか否かは不明のまま。
  • チアノーゼ疾患も非チアノーゼ疾患と同様の65%というカットオフは、高過ぎる印象。
ABOUT ME
木村聡
小児心臓麻酔や集中治療に関わる文献を、浅く、でも少しだけ掘り下げて紹介したいと思います。