Shuler JM, Statile C, Heydarian H, Lehenbauer DG, Hill GD.
Surgical Timing and Outcomes of Unilateral Versus Bilateral Superior Cavopulmonary Anastomosis: An Analysis of Pediatric Heart Network Public Databases.
Pediatr Cardiol. 2021 Mar;42(3):662-667. doi: 10.1007/s00246-020-02527-4. Epub 2021 Jan 8. PMID: 33416920; PMCID: PMC7791322.
背景
- 単心室に対するグレン手術は、上大静脈(SVC)の本数によって吻合箇所数が異なる。
- SVCが一本の患者はunilateral superior cavopulmonary anastomosis (uSCPA)、二本の患者はbilateral superior cavopulmonary anastomosis (bSCPA)が施行される。
- uSCPAとbSCPAの手術の適切なタイミングを調べたい。
要点
- 10施設からなるデータベースを用いた後ろ向き研究。Norwood手術の施行歴、生後14ヶ月未満、SCPAを施行された患者、Kawashimaは除外。
- uSCPAとbSCPAで比較。また、120日未満でSCPAを施行された患者のみをsubgroup解析。
- uSCPAとbSCPAで、病院滞在日数、ICU滞在日数、人工呼吸器機関、退院時酸素飽和度に有意差なし。ただし、120日未満でSCPAを施行された患者のsubgroup解析では、bSCPAの方が院内滞在日数や人工呼吸器機関が有意に長かった。
Table 5. 早期にSCPAを施行された患者の長期病院滞在に対する多変量解析

注意点・コメント
- 上記の結果を元に、「bSCPAは120日以降に行うべき」としているが、本研究ではそのような解釈はできない。bSCPAかuSCPAはSVCが片側か両側かで異なっており、これは介入ではなく患者背景である。したがって、SVCの本数を多変量解析に入れるべき。そして、1本ならuSCPA、2本ならbSCPAになるため、多変量解析のモデルを作成するのは不可能となる。
- SCPAの手術の適切なタイミングを調べたければ、それぞれの群で比較検討すべき。
- 病院滞在日数という社会的要因も含まれるアウトカムをprimary outcomeにしているのも問題あり。そして、そのような連続変数をわざわざカテゴリー(10日以上 or 未満)に分けてlogistic regressionを用いている理由が不明。
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