コヘルツ論文セレクション 
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呼吸

人工心肺中の酸素分圧と予後

Caputo M, Scott LJ, Deave T, Dabner L, Parry A, Angelini GD, Sheehan K, Stoica S, Ellis L, Harris R, Rogers CA.

A randomized controlled trial comparing controlled reoxygenation and standard cardiopulmonary bypass in paediatric cardiac surgery.

Eur J Cardiothorac Surg. 2021 Jan 29;59(2):349-358. doi: 10.1093/ejcts/ezaa318. PMID: 33123718; PMCID: PMC7850030.

背景

  • チアノーゼ性心疾患患者は、虚血再灌流障害を受けやすい。
  • 人工心肺中の酸素濃度を低くすることで、虚血再灌流障害を減らせるのではないか、という仮説。

要点

  • 単施設、ランダム化比較研究、人工心肺による開心術を受けたチアノーゼ性心疾患患者
  • 人工心肺中の高酸素群(PaO2 150-200mmHg)と正常酸素群(ベースラインのPaO2から開始し、徐々にPaO2 150mmHgへ)を比較。Primary outcomeは、心血管作動薬使用期間、挿管期間、PICU滞在日数、病院滞在日数。
  • 上記primary outcomeに有意差なし。また、1年後の成長スケールも有意差なし。 

Figure 4. PaO2の推移

注意点・コメント

  • 両群で人工心肺中のPaO2に有意差あるが、時間が短すぎる(中央値90-100分)、差が小さすぎる(高酸素群でも150-200mmHg程度。正常酸素群でも結局は150mmHgへ)のではないか。
  • このくらい短時間の酸素の差が、上記primary outcomeに差を及ぼすほど大きいとは考えにくい。せめてCKやBNPといったmarkerを比べてみたい。
  • ただし、このような低めの酸素でも問題ないことを示したという意味では、今後に繋がる研究。
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木村聡
小児心臓麻酔や集中治療に関わる文献を、浅く、でも少しだけ掘り下げて紹介したいと思います。