Lee EP, Chu SC, Huang WY, Hsia SH, Chan OW, Lin CY, Su YT, Chang YS, Chung HT, Wu HP, Lin JJ.
Factors Associated With In-hospital Mortality of Children With Acute Fulminant Myocarditis on Extracorporeal Membrane Oxygenation.
Front Pediatr. 2020 Aug 27;8:488. doi: 10.3389/fped.2020.00488. PMID: 32984204; PMCID: PMC7481354.
背景
- 劇症型心筋炎は、VA-ECMOを要する重症疾患である。
- 死亡率の予測因子を知りたい。
要点
- 後ろ向き研究、二施設、生後1ヶ月~18歳、急性心筋炎の診断、ECMOを導入
- ECMO導入前後の因子を用いて、死亡率を予測。
- n=33。全体の生存率は69.6%。ECMO期間の中央値は、生存群で120時間、死亡群で134時間。ECMO前の乳酸値とECMO後のEFは、単変量・多変量ともに死亡と有意に関連。トロポニンやCK-MB(50 vs. 230, p=0.114)は予後と有意に関連せず。
Figure 1. ECMO前の乳酸値とECMO後のEFによる死亡率の予測

注意点・コメント
- 死亡率を予測するprediction modelを作りたいのであれば、ある一時点の変数を使って欲しい。例えば、今回はモデルの中にECMO後の様々な変数を用いているが、死亡直前のデータは悪いと予想されるため、そのような変数までモデルに入れてしまうのはフェアじゃない。「ECMO前」「ECMO導入後XX時間」といった制限をかけて変数を選ばないと、意味がない。
- LVADや心移植患者が一人も含まれておらず、施設(国)といった特殊な環境が予想される。ただ、逆に言えば、「ECMO前の乳酸値とECMO後のEFは死亡と関連するためVADや移植が必要」と解釈することもできるかもしれない。
- VADや移植をしないにも関わらず、死亡群でのECMOの中央値が134時間というのは、回復の見込みがないと判断するのが早いのか、多臓器不全といった合併症が早く起こるのか、そのあたりの情報が欠けており判断できない。
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