コヘルツ論文セレクション 
小児心臓・集中治療に関わる研究を簡単かつ少しだけ読み込んで紹介するブログ
輸液・電解質

小児心臓外科術後の輸液負荷の反応性

Ranjit S, Natraj R, Kissoon N, Thiagarajan R, Ramakrishnan B, García MIM.

Variability in the Physiologic Response to Fluid Bolus in Pediatric Patients Following Cardiac Surgery.

Crit Care Med. 2020 Nov;48(11):e1062-e1070. doi: 10.1097/CCM.0000000000004621. PMID: 32947469.

背景

  • ショックや血圧低下に対し、輸液負荷は一般的な介入の一つである。
  • しかし、輸液負荷による血圧や心拍出量の変化に関係性が少ないことは、成人では示されている。
  • 小児については、不明。

要点

  • 単施設、前向き研究、小児心臓外科術後12時間以内に輸液負荷(10ml/kgのリンゲル液)が必要となった症例
  • 心係数や血圧が10%以上上昇した患者を「反応あり(responder)」とし、反応ありなしの二群間で、様々な血行動態のパラメーターを比較。
  • n=57。平均血圧のresponderは33%、心係数のresponderは56%。平均血圧と心係数の変化に関連なし(r=0.035)。輸液負荷後前の全身血管抵抗といった後負荷に有意差ないが、輸液反応群のみ輸液後に全身血管抵抗が上昇した。

Figure 4. 輸液負荷後の平均血圧の変化と心係数の変化

注意点・コメント

  • MAPやCIだけでなく、CVP, SVI, SVRI, mean systemic filling pressureといった血行動態を詳細に調べ、輸液反応・不反応の理由を詳しく考察している研究。
  • 輸液により血圧が上昇する人は、gradient for venous return (Pmsf-CVP)だけでなく、CVP(venous resistance)や全身血管抵抗(afterload)も上昇している。そのため、単に前負荷が増加だけが血圧上昇の理由ではないのだろう。
  • 輸液負荷をむやみに繰り返すことを警告した研究。
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木村聡
小児心臓麻酔や集中治療に関わる文献を、浅く、でも少しだけ掘り下げて紹介したいと思います。