コヘルツ論文セレクション 
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循環

ミルリノンは血管拡張薬であって強心薬ではない

Rahiman S, Kowalski R, Kwok SY, Matha S, Jones B, Smolich JJ, Mynard JP, Butt W, Millar J.

Milrinone Acts as a Vasodilator But Not an Inotrope in Children After Cardiac Surgery-Insights From Wave Intensity Analysis.

Crit Care Med. 2020 Nov;48(11):e1071-e1078. doi: 10.1097/CCM.0000000000004622. PMID: 32932352.

背景

  • 心超音波検査は心機能を評価するためによく用いられているが、術後は術創やガーゼのため評価しにくい。
  • Wave intensity analysis (WIA)という、pressureとvelocityの変化からwave intensityを計算する方法は、頚動脈からでも評価できるため、左室収縮能や拡張能、血管抵抗の測定に際し有用かもしれない。

要点

  • 単施設、前向き観察研究、PICU、18歳未満、心臓手術後にミルリノンを開始された患者
  • ミルリノン開始前と、開始後4-6時間の二回、Wave intensity analysis (WIA)を測定。
  • n=16。ミルリノン開始後、Backward compression wave cumulative intensityは26%減少し、血管拡張を示唆。しかし、心室の収縮能を表すforward compression wave cumulative intensityや、拡張能を表すforward decompression wave cumulative intensityは変化しなかった。

注意点・コメント

  • 年齢、術式が様々。よく言えばいろいろな患者層を対象とできたのであろうが、本結果を元に「有意差がないから効果がない」とするには、患者層がバラバラでサンプル数が小さいことからも難しいだろう。
  • すなわち、ミルリノンはvasodilatorとしての効果が強いのだろうが、収縮能や拡張能の改善作用がないとは言い切れない。
  • ミルリノンを術後24時間以内に開始した患者が4名(25%)いる。人工心肺の影響など血行動態が比較的大きく変化する時期であるが、ミルリノンの効果を調べたいのであれば慢性期の患者の方がよいのではないか。
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木村聡
小児心臓麻酔や集中治療に関わる文献を、浅く、でも少しだけ掘り下げて紹介したいと思います。