コヘルツ論文セレクション 
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インターベンション

房室中隔欠損症における根治術と肺動脈絞扼術の比較

Buratto E, Hu T, Lui A, Wu DM, d’Udekem Y, Brizard CP, Konstantinov IE.

Early repair of complete atrioventricular septal defect has better survival than staged repair after pulmonary artery banding: A propensity score-matched study.

J Thorac Cardiovasc Surg. 2021 May;161(5):1594-1601. doi: 10.1016/j.jtcvs.2020.07.106. Epub 2020 Aug 12. PMID: 32921440.

背景

  • cAVSDは通常、生後3-6ヶ月で根治術を行うことが多い。
  • 生後3ヶ月以前に心不全や成長不全がある場合、根治術を行なった場合の死亡率上昇や左房室弁機能不全(LAVV)への再手術への心配から、肺動脈絞扼術(PAB)を行うこともある。
  • 生後3ヶ月以前の根治術とPABの予後を比較したい。

要点

  • 単施設、後ろ向き研究、生後3ヶ月以内にcAVSDの手術(根治術 or PAB)を施行された患者
  • 両群を直接生存率や比較。また、propensity score matchingで再度比較。
  • n=194。151名(77.8%)が根治術を、43名(22.2%)がPABを施行された。PABの方が、有意に年齢と体重が小さく、trisomy 21が少なかった。単純比較同様、PS matchingでも、20年(!)生存率は根治術で有意に高く(p=0.001)、LAVVに対する再手術に有意差はなかった。

Figure 4. Propensity-matched cohortにおける、生存率とLAVVに対する再手術を、根治術とPABで比較

注意点・コメント

  • 3:1のPS matchingを行うほど、当施設でも3ヶ月未満でも根治術が多いということ。実際、Christian Brizardを含め、弁形成の著名人が執刀している可能性が高い。
  • すなわち、本研究施設(Royal Children’s Hospital, Melbourne)では3ヶ月未満でも根治術の成績が非常に良好で、LAVVRが少ないのであって、この結果が他の施設に当てはまる訳ではない。
  • ただし、3ヶ月未満でも手術がうまくいけば生存率が高く逆流も少なくできる、ということは知っておいてもよいだろう。
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木村聡
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