コヘルツ論文セレクション 
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循環

ニトログリセリンと人工心肺からの復温速度

Mullane D, Lenihan M, Hanley C, Wall T, Bukowska I, Griffin M, Flood G.

Efficacy of Glyceryl trinitrate (GTN) to facilitate the rewarming process during cardiopulmonary bypass.

J Cardiothorac Surg. 2020 Aug 10;15(1):214. doi: 10.1186/s13019-020-01258-0. PMID: 32778123; PMCID: PMC7419191.

背景

  • 人工心肺からの離脱時に低体温残存は、乳酸値上昇などのアウトカム悪化と関連する。
  • Glyceryl trinitrate (GTN)は血管拡張薬であり、人工心肺離脱時のrewarmingを助ける可能性がある。
  • GTNの効果をRCTで評価してみた。

要点

  • 単施設、ランダム化比較試験、18歳以上、人工心肺を使用
  • GTN 0.01mcg/kg/minの低用量群(n=39)と、0.5mcg/kg/minの高用量群(n=40)にランダムに分類。どちらも人工心肺離脱のための復温開始時にスタート。
  • 復温にかかった時間(33min vs. 35.5min; p=0.84)や、離脱後に最低2時間36.5℃を維持できた時間、術後乳酸値に、両群で有意差なし。

注意点・コメント

  • Primary outcomeとして、復温時間、人工心肺離脱後の正常他院維持時間、乳酸値など、複数設けていることに違和感がある。複数あるにも関わらず、「power calculationで59名必要」と記載されており、何を元に計算したのであろうか。
  • GNTを使用してない群がないため、GTNの効果自体不明。
  • 血管を拡張すれば、血圧を保つためには必然的に血管収縮薬か輸液(または輸血)が必要である。それらのアウトカムに関するデータがなく、どこまで血管が拡張されたのかわからない。
  • そもそも、復温を速めることの是非自体に議論の余地がある。
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木村聡
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