コヘルツ論文セレクション 
小児心臓・集中治療に関わる研究を簡単かつ少しだけ読み込んで紹介するブログ
呼吸

小児の呼吸不全と吸入一酸化窒素

Berger JT, et al; Eunice Kennedy Shriver National Institute of Child Health and Human Development Collaborative Pediatric Critical Care Research Network.

Inhaled Nitric Oxide Use in Pediatric Hypoxemic Respiratory Failure.

Pediatr Crit Care Med. 2020 Aug;21(8):708-719. doi: 10.1097/PCC.0000000000002310. PMID: 32195895; PMCID: PMC7416469.

背景

  • 小児のARDSにおいて、iNOはV/Q mismatchを改善させ、酸素化を改善させる可能性がある。
  • しかし、生存率といったアウトカムについてはiNOの影響は否定的である。
  • iNOで酸素化が改善したのであれば、FiO2を下げられるはずであり、酸素か改善に対する臨床医の「responsiveness」は予後と関連するのではないか。

要点

  • 後ろ向き観察研究、多施設、呼吸器疾患に対し人工呼吸器かつiNOを使用された18歳未満
  • iNO開始24時間以内にFiO2を0.6未満に減らした場合に、「responsivenessあり」とし、予後との関連を評価。
  • 「responsivenessあり」は、人工呼吸器フリー期間低下と関連。死亡率とは関連せず。

注意点

  • 後ろ向きの多施設のため、iNOのindicationがバラバラであると予想される。iNO装着時に反応するような状態の良い患者が、単に人工呼吸器期間が短いのではないか。
  • 仮に患者背景が一緒であったとしても、生存率に違いがなく、人工呼吸器期間のみ違いがあるというのは、FiO2を下げようとする臨床医は積極的に抜管しようとしていることを意味するだけで、iNOは関係ないのではないか。
  • 「iNO —> clinicians’ responsiveness —> FiO2 —> outcome」という因果推論であり、仮説から考えると結局は「FiO2 —> outcome」を調べたいだけだろうし、研究デザインもそこにfocusした方が良いのではないだろうか。
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木村聡
小児心臓麻酔や集中治療に関わる文献を、浅く、でも少しだけ掘り下げて紹介したいと思います。