コヘルツ論文セレクション 
小児心臓・集中治療に関わる研究を簡単かつ少しだけ読み込んで紹介するブログ

小児に対する23.4%高張食塩水の使用

Cummings BM, Fernandes ND, Parker LF, Murphy SA, Yager PH.

Standardized Volume Dosing Protocol of 23.4% Hypertonic Saline for Pediatric Critical Care: Initial Experience. Ann Pharmacother.

2020 Sep;54(9):866-871. doi: 10.1177/1060028020907997. Epub 2020 Feb 18. PMID: 32070111.

背景

  • 頭部外傷(TBI)、頭蓋内出血、感染、腫瘍といった疾患により、脳の傷害と浮腫・頭蓋内圧亢進がおこる。
  • 頭蓋内圧亢進には高張食塩水(HTS)が推奨されている。
  • 成人では23.4%のHTS 30mlの投与も行われているが、小児に対する使用経験は乏しい。

要点

  • 後ろ向き研究、単施設、23.4% HTSを用いた小児
  • プロトコル作成(Table 1)に基づいて23.4% HTS投与。量は3% HTSを元に、10ml, 20ml, 30mlの三通りを作成し、10-30minで投与。中心静脈を推奨するが、緊急であれば末梢静脈も可。Osmotic demyelination syndromeへの心配から、10kg以上の患者のみに使用。
  • 16名の小児(1yo – 18yo)に対し、37回の23.4%のHTSが使用された。投与前後でNaが3.5mEq/L上昇(p<0.0001)し、ICPは10.5mmHg低下(p=0.002)。10名でMRIを撮影されたがCentral pontine myelinolysisの所見なし。

Table 1. 体重毎の23.4%高張食塩水のプロトコル

注意点・コメント

  • 23.4%と、かなり「濃い」HTSを小児に用いることが可能か否かの臨床報告。
  • このサンプル数で「脱髄がおきない」とするのは難しいが、頭蓋内圧を低下させる効果はありそうだが、他の並行治療の影響も考えられる。また、23.4%を用いることで投与volumeを減らしたい小さな小児(10kg未満)こそが、除外されている。
  • HTSの適応が書かれていない。すなわち、どの程度severeなTBIなのか、どのくらいTBI患者以外もいるのか、不明。
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木村聡
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