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循環

小児心臓外科術後の予防的levosimendan

Wang A, Cui C, Fan Y, Zi J, Zhang J, Wang G, Wang F, Wang J, Tan Q.

Prophylactic use of levosimendan in pediatric patients undergoing cardiac surgery: a prospective randomized controlled trial.

Crit Care. 2019 Dec 30;23(1):428. doi: 10.1186/s13054-019-2704-2. PMID: 31888711; PMCID: PMC6937718.

背景

  • 低心拍出量症候群は小児心臓外科術後の問題点の一つ。
  • Levosimendanの効果は未だにcontrovertial。

要点

  • 単施設、ランダム化比較研究、年齢48カ月以下、心臓手術後、
  • Levosimendan (0.05mcg/kg/min) vs. プラセボを術後48時間投与。Primary outcomeはLCOS。死亡率やLevosimendanの血中濃度の変化も調査。
  • n=187。両群でLCOSの発生率、90日死亡率、人工呼吸器期間に有意差なし。Levosimendanの血中濃度はプラトーにならなかった。

Figue 3. Levosimendanとその代謝物質の血中濃度の推移

注意点・コメント

  • Levosimendan群のLCOSとなるORが、単変量で0.46 (0.19-1.13)、多変量解析で0.38 (0.15-0.94)であることから、levosimendanは有効である言っているが、RCTでなぜ多変量解析したのか。実際、患者背景に有意差がないにも関わらず、年齢やRACHSをモデルに含めており、意図的(p-picking)である感が否めない。
  • Levosimendanの投与は、ローディングなしの0.05mcg/kg/minであり、通常よりも少ない印象。低血圧といった副作用を避ける(実際、投与中止)ためだと思われるが、そのために効果も差がなかった可能性。実際、血中濃度はプラトーにならず、約投与開始10時間後から急激に低下している。
  • 検出力の計算でLCOSの発生率を25% vs. 45%としているが、 実際は10% vs. 18%と随分と低い。LCOSの診断に、臨床的なパラメーターではなく、pressure recording analytical method (PRAM)を使った心拍出量を用いているためだと考えられるが、検出力不足の一因となっている。
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木村聡
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