コヘルツ論文セレクション 
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消化管

先天性心疾患と壊死性腸炎の死亡率

Spinner JA, Morris SA, Nandi D, Costarino AT, Marino BS, Rossano JW, Shamszad P.

Necrotizing Enterocolitis and Associated Mortality in Neonates With Congenital Heart Disease: A Multi-Institutional Study.

Pediatr Crit Care Med. 2020 Mar;21(3):228-234. doi: 10.1097/PCC.0000000000002133. PMID: 31568264.

背景

  • 壊死性腸炎(NEC)と先天性心疾患(CHD)の関係や、その予後については、これまで単施設の研究が多く、データは少ない。
  • 多施設データベースを用いて調べてみた。

要点

  • 多施設、後ろ向き研究、生後28日未満、Pediatric Health Information System database
  • ICD-9を用いてCHDやNECの有無を抽出。患者背景や院内死亡率のデータもあり。
  • 48施設、n=38,770。NECは1,448 (3.7%)。TGAでNECの罹患率が最小(n=104, 2.1%)。HLHSで最もNECが最も多く、truncusや単心室が次ぐ。TGAやaortic arch obstruction, TOFでは、NECと院内死亡率に有意な関連あり。

Figure 2. 心疾患別の壊死性腸炎と死亡率

注意点・コメント

  • 心疾患の種類によってNEC罹患率が様々であることを、大きなデータベースで示した研究。
  • ただし、多施設だからこそ、薬剤や栄養に関する管理方法はかなり違うことが予想される。
  • しかし、それらの詳細のデータが存在しない。例えば、CHDにおけるNECといえば、prostinの有無や投与量や期間、PDA dependentのsystemicまたはpulmonary circulationといったデータが大切であるが、それらのいずれも不明。抗生剤の使用や栄養開始時期もNECに関与すると考えられるが、それらも不明。そのため、一概のどの心疾患が壊死性腸炎の死亡率が高いか、結果通りに受け取ることは難しい。
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木村聡
小児心臓麻酔や集中治療に関わる文献を、浅く、でも少しだけ掘り下げて紹介したいと思います。