コヘルツ論文セレクション 
小児心臓・集中治療に関わる研究を簡単かつ少しだけ読み込んで紹介するブログ
内分泌

新生児の人工心肺におけるステロイド

Graham EM, Martin RH, Buckley JR, Zyblewski SC, Kavarana MN, Bradley SM, Alsoufi B, Mahle WT, Hassid M, Atz AM. Corticosteroid Therapy in Neonates Undergoing Cardiopulmonary Bypass: Randomized Controlled Trial.

J Am Coll Cardiol. 2019 Aug 6;74(5):659-668. doi: 10.1016/j.jacc.2019.05.060. PMID: 31370958; PMCID: PMC6684326.

背景

  • 人工心肺を要する心臓手術に際し、ステロイドは炎症反応を抑え、相対的副腎不全のリスクを減らし、超低体温循環停止における神経保護といった利点が提唱されている。
  • 成人についてはその効果は否定的であるものの、小児についてはまだ議論されている。

要点

  • 二施設、ランダム化比較試験、一ヶ月未満の新生児、n=190
  • メチルプレドニゾロン30mg/kg vs. プラセボを、麻酔導入時に投与。Composite outcome (死亡、機械循環サポート、心停止、肝障害、腎障害、乳酸高値)を比較。
  • 一次評価項目に有意差なし(33% vs. 42%, OR 0.63, 95%CI 0.15-0.99, p=0.0048)。ただし、片方の施設では有意差あり。また、心血管作動薬の必要性は低下し、姑息術に限れば一次評価項目に有意差あり。

注意点・コメント

  • 他の多くの研究と同様、ステロイドの効果には否定的。
  • ただし、コントロール群では40%の患者で術後ステロイドを使用されており、その効果の差を見つけにくい背景となってしまっている。
  • 施設間で循環停止の目標体温や血流、目標ヘマトクリット値などに相違があるため、これらがステロイドの有効性に施設間差の原因となっている可能性あり。すなわち、どの施設でもステロイドは有効でないとは言い切れない。
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木村聡
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