コヘルツ論文セレクション 
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感染

中心静脈カテーテル関連血流感染症の危険因子

García H, Romano-Carro B, Miranda-Novales G, González-Cabello HJ, Núñez-Enríquez JC.

Risk Factors for Central Line-Associated Bloodstream Infection in Critically Ill Neonates.

Indian J Pediatr. 2019 Apr;86(4):340-346. doi: 10.1007/s12098-019-02896-6. Epub 2019 Feb 27. PMID: 30809767.

背景

  • Central line-associated bloodstream infection (CLABSI)は、中心静脈カテーテル(CVC)の合併症の一つであり、その発生率は1.4-49%とも言われている。
  • CLABSIの危険因子を知りたい。

要点

  • 単施設、Nested case-control study、NICUに入室、CVC挿入
  • CLABSIをcase、それ以外をcontrolとして比較。Unconditional logistic regressionで交絡因子を調整。
  • Case=74, control=105。多変量解析では、Double-lumen(OR 5.8, 95%CI 1.2-30)、入院日数、腹部手術、CVCからの輸血(OR 2.5, 95%CI 1.2-5.3)が有意にCLABSIと関連。

Table 4. 多変量解析におけるCLABSIと関連する因子

注意点・コメント

  • どうしても交絡因子を全て調整することは難しい。例えば、重症患者は感染を起こしやすく、重症患者はラインが多く必要でありmultiple lumensや輸血を必要とするため、重症であることは交絡因子である。しかし、本研究は重症度を表すデータを収集していない。
  • 輸血自体がCLABSIの危険因子と考えられているが、本研究はCVCからの輸血を変数として考えている。末梢からの輸血を考慮できていないのであれば、CVCが悪いのか輸血が悪いのか判断できない。
  • それでも、無駄にmultiple lumensやCVCからの輸血を避けた方がよいという提言にはなる。
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木村聡
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