コヘルツ論文セレクション 
小児心臓・集中治療に関わる研究を簡単かつ少しだけ読み込んで紹介するブログ
循環

先天性心疾患におけるケタミンの血行動態への影響

Loomba RS, Gray SB, Flores S.

Hemodynamic effects of ketamine in children with congenital heart disease and/or pulmonary hypertension.

Congenit Heart Dis. 2018 Sep;13(5):646-654. doi: 10.1111/chd.12662. Epub 2018 Sep 27. PMID: 30259660.

背景

  • ケタミンの血行動態に与える影響は、conflicting。
  • システマチックレビューとメタ解析してみた。

要点

  • 先天性心疾患をもつ小児、ケタミン投与前後で血行動態を比較した論文
  • 体血管抵抗、肺血管抵抗、心拍数、心係数などを、ケタミン投与前後で比較したメタ解析。
  • 7つの研究、139名の小児を対象。肺血管抵抗、体血管抵抗、肺動脈圧、体動脈圧、心拍数、pH、動脈血酸素飽和度に有意差無し。

Figure 2. ケタミンの体血管抵抗に対するForest plot

注意点・コメント

  • 殆どが後ろ向き研究であり、交絡因子の調整ができているのか不明。すなわち、ケタミン以外の薬剤(麻薬や昇圧剤を含む)を投与している可能性があり、ケタミン単独による影響かどうかわからない。
  • 後ろ向き研究を含め、risk of biasの評価の記載が曖昧。Cochranなどの評価項目、表やグラフを使わず、”low overall levels of bias”と記載しているのみであり、不十分。
  • それぞれの研究についてのtable oneが欲しい。すなわち、年齢や背景、投与量などについての情報が不十分。Majorityが2mg/kgと書いてあるが、多くないだろうか。肺高血圧クライシスといったリスクの低い、比較的元気な患者層である可能性あり。
ABOUT ME
木村聡
小児心臓麻酔や集中治療に関わる文献を、浅く、でも少しだけ掘り下げて紹介したいと思います。