コヘルツ論文セレクション 
小児心臓・集中治療に関わる研究を簡単かつ少しだけ読み込んで紹介するブログ
呼吸

Fontan手術後の手術室抜管の意義

Kintrup S, Malec E, Kiski D, Schmidt C, Brünen A, Kleinerüschkamp F, Kehl HG, Januszewska K. Extubation in the Operating Room After Fontan Procedure: Does It Make a Difference?

Pediatr Cardiol. 2019 Mar;40(3):468-476. doi: 10.1007/s00246-018-1986-5. Epub 2018 Sep 20. PMID: 30238137.

背景

  • Fontan循環では陰圧呼吸による静脈還流の増加が重要である。
  • これまで早期抜管に関する臨床研究があるが、手術室で抜管することのメリットを示した研究はない。

要点

  • 単施設後ろ向き前後比較研究、Fontan手術を施行された小児、n=114
  • 手術室抜管strategyの導入前(ICU抜管、n=54、術後平均195分で抜管)vs. 導入後(手術室抜管、n=60)
  • 手術室抜管群は、術後の心拍数が低く(106.5 vs. 120.3 bpm; p < 0.001)、中心静脈圧が低く(10.4 vs. 11.4 mmHg; p = 0.001)、収縮期血圧が高く(88.6 ± 2.5 vs. 85.6 ± 2.6 mmHg; p = 0.036)、胸水が少なく(38.0 vs. 49.5 ml/kg/48h; p = 0.004)、輸液投与量が少なく(54.1 vs. 73.8 ml/kg/24h; p = 0.019)、血管作動薬の投与時間が短かった(9.8 vs. 12.8 h of dopamine; p = 0.033)。

注意点

  • 「早期抜管」を更に追求した「手術室抜管」の利点について調べた研究。ICU抜管群も平均3時間程度で抜管していることから、「早期抜管 vs. 超早期抜管」といったところか。
  • Mutsugaらの前後比較研究と比べると4年間とやや短い期間でのデータであり、外科医や麻酔科医、医療の変化といった関与も少なそうではある。サンプル数は小さいが、患者背景も同等にみえる。しかし、手術室抜管群(strategy導入後)ではremifentanilやdexmedetomidineを使用しているが、ICU抜管群(strategy導入前)ではそれらを用いずsufentanilやmorphine, midazolamを使用しており、鎮痛・鎮静剤の使用に大きな違いがある。そのため、心拍数や血圧の違いもこれら薬剤(特にdexmedetomidine)の投与量の違いである可能性は否定できない。術後pCO2も手術室抜管群で有意に低いことは、麻酔薬が少ないことを表していると考えられる。
  • Strategy導入後の1名が抜管後に喉頭痙攣により再挿管となっているが、これが早期抜管のリスクの一つである。しかし、本研究ではこの患者をICU抜管群として解析しており、その意味では手術室で抜管する方が良いか否かを評価した研究とは言えない。
ABOUT ME
木村聡
小児心臓麻酔や集中治療に関わる文献を、浅く、でも少しだけ掘り下げて紹介したいと思います。