コヘルツ論文セレクション 
小児心臓・集中治療に関わる研究を簡単かつ少しだけ読み込んで紹介するブログ

先天性心疾患患者の術前の脳血行動態

Lynch JM, Ko T, Busch DR, Newland JJ, Winters ME, Mensah-Brown K, Boorady TW, Xiao R, Nicolson SC, Montenegro LM, Gaynor JW, Spray TL, Yodh AG, Naim MY, Licht DJ. Preoperative cerebral hemodynamics from birth to surgery in neonates with critical congenital heart disease.

J Thorac Cardiovasc Surg. 2018 Oct;156(4):1657-1664. doi: 10.1016/j.jtcvs.2018.04.098. Epub 2018 May 3. PMID: 29859676; PMCID: PMC6166233.

背景

  • 低酸素性白質脳症は重度の先天性心疾患ではよくある合併症である。
  • TGAとHLHSでは手術までのタイミングが遅くなることが、脳白質傷害/脳室周囲白質軟化症の増加と関連することが示されている。

要点

  • 単施設、観察研究、TGAとHLHS、n=48
  • 脳酸素飽和度や酸素摂取率、脳血流を手術まで毎日測定。
  • 脳酸素飽和度は時間とともに有意に低下(左)し、酸素摂取率は有意に増加(右)した(Figure 1)

Figure 1

注意点・コメント

  • 出生時と比較し、手術時にはヘモグロビン値が低下(有意差なし)している。また、時間とともにSpO2が低下しているようにみえるが、著者によると低下していないと記載されている(統計学的解析は不明)。脳酸素飽和度の低下は動脈血の酸素飽和度の低下によるものでないとすると、なぜなのか。
  • 観察研究であり、術前の治療についての詳細は不明。輸血、酸素投与、心血管作動薬の使用に関するデータはない。これらは脳酸素飽和度や摂取率に影響を与えるはずであるため、この結果が他施設の管理にあてはなるわけではない。
  • 術前までのフォローであり、長期的な予後は不明。
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木村聡
小児心臓麻酔や集中治療に関わる文献を、浅く、でも少しだけ掘り下げて紹介したいと思います。