コヘルツ論文セレクション 
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輸液・電解質

小児心臓外科術後のアセトアミノフェンと腎不全

Van Driest SL, Jooste EH, Shi Y, Choi L, Darghosian L, Hill KD, Smith AH, Kannankeril PJ, Roden DM, Ware LB.

Association Between Early Postoperative Acetaminophen Exposure and Acute Kidney Injury in Pediatric Patients Undergoing Cardiac Surgery.

JAMA Pediatr. 2018 Jul 1;172(7):655-663. doi: 10.1001/jamapediatrics.2018.0614. PMID: 29799947; PMCID: PMC6110290.

背景

  • 人工心肺の影響で増えた遊離ヘモグロビンが、AKIを引き起こす。
  • その機序として、ヘム鉄が酸化され、腎毒性のある鉄に変化することが関与しているのではないかと言われている。
  • アセトアミノフェンは、この鉄の酸化を抑えるため、術後AKIに予防的にはたらくのではないか。

要点

  • 二施設、小児病院、後ろ向き研究、生後28日以上、心臓外科術後
  • 術後48時間以内に使用されたアセトアミノフェンの量と、KDIGOでのAKI発生率との関連を評価。Primary cohortで関連を評価し、時期を変えたvalidation cohortで同様の結果が得られるか確かめた。
  • n=666のprimary cohortの年齢中央値は6.5カ月。51.2%にAKIは発生。AKI群の方がアセトアミノフェン使用料が少なく、logistic regressionでは独立でAKI発生と関連(OR 0.86, 0.82-0.90 per each additional 10mg/kg)。n=333のvalidation cohortでも同様の結果。

Figure 2. AKIに対する多変量解析

注意点・コメント

  • ECMO患者は腎代替療法を受けている可能性があるため除外されている。しかし、アセトアミノフェンが肝不全や循環抑制、LCOS、予後と関与している可能性がある限り、それらを除くことはselection biasとなる。
  • LCOS、PIM、人工呼吸器といったconfounderは調整されていない。
  • KDIGO criteriaを用いているが、尿量は診断基準として用いられていない。すなわち、AKIの診断が不正確の可能性。また、小児でKDIGOを用いると、baseのクレアチニンが低いため簡単にAKIと診断されてしまうリスクがある。さらに、循環動態が安定してアセトアミノフェンを使える群は、採血が少なく、クレアチニンチェックの頻度が低く、AKI発見の可能性が低くなる、といった問題も否定できない。
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木村聡
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