Cavigelli-Brunner A, Hug MI, Dave H, Baenziger O, Buerki C, Bettex D, Cannizzaro V, Balmer C.
Prevention of Low Cardiac Output Syndrome After Pediatric Cardiac Surgery: A Double-Blind Randomized Clinical Pilot Study Comparing Dobutamine and Milrinone.
Pediatr Crit Care Med. 2018 Jul;19(7):619-625. doi: 10.1097/PCC.0000000000001533. PMID: 29538053.
背景
- 小児心臓手術後のLow cardiac output syndrome (LCOS)は、術後の大きな問題である。
- ミルリノンとドブタミン、どちらも心収縮を補助し、全身・肺血管抵抗を低下させる。
- 小児開心術で、それらの薬剤を比較した研究はない。
要点
- ランダム化比較研究、単施設、人工心肺を用いた開心術後、生後6週以上35kg未満の小児、
- 人工心肺終了後よりミルリノン(target 0.75mcg/kg/min) vs. ドブタミン(target 6mcg/kg/min)を術後36時間投与。LCOS(追加の血管作動薬の必要性)やその他の血行動態を比較。
- 追加の血管作動薬の必要性に有意差なし(61% vs. 67%, p=0.71)。静脈血酸素飽和度、乳酸、尿量、胸腔ドレーン留置期間、人工呼吸器期間、ICU滞在日数に有意差なし。
注意点・コメント
- Pilot研究であることから、power calculationは行われていない。すなわち、有意差がないのはサンプル数が少ない可能性がある。例えば、不整脈の発生率はドブタミン4/26 (15%)に対しミルリノン7/24 (29%)であるが、「有意差なし」となっている。
- 大動脈遮断の中央値は68分であり、それぞれの術式を見ても、カテコラミンなしでも人工心肺離脱が可能な患者層と言える。しかも、そのような軽症症例に対し、ミルリノン・ドブタミンともに比較的(必要以上に)多い投与量となっている。
- より重症症例に本結果が当てはまるか否か不明。例えば、ACC>120に限った症例での結果が見てみたい。
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