コヘルツ論文セレクション 
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輸液・電解質

高クロール血症は腎代替療法と死亡率と関連する

Barhight MF, Lusk J, Brinton J, Stidham T, Soranno DE, Faubel S, Goebel J, Mourani PM, Gist KM.

Hyperchloremia is independently associated with mortality in critically ill children who ultimately require continuous renal replacement therapy.

Pediatr Nephrol. 2018 Jun;33(6):1079-1085. doi: 10.1007/s00467-018-3898-2. Epub 2018 Feb 5. PMID: 29404689.

背景

  • 生理食塩水の投与や高クロール血症と、腎不全の関連性はこれまで報告されている。
  • 腎代替療法が必要な患者における上記の関連性を調べてみた。

要点

  • 単施設、後ろ向き研究、集中治療室入室、生後90日~25歳まで、腎代替療法(CRRT)を要した患者
  • 腎代替療法開始前の最高血清クロール値によって、高クロール群と正常クロール群に分類。Primary outcomeは死亡率。
  • n=66(n=36 vs. n=27)。CRRT開始時のFluid overloadは、高クロール群で有意に多かった。高クロール群は、死亡率が有意に高く、回帰分析で調整後の死亡に対するオッズは1.9倍高かった。

注意点・コメント

  • 入院からCRRT開始までの交絡因子の調整が不十分。例えば、fluid overloadとしての因子は入っているが、肝心の輸液に入っているクロール量は不明。仮説にあるように生理食塩水かリンゲル液かで予後が異なるとすると、それらの輸液に入っているクロール量が大切で、重要な交絡因子となるはず。すなわち、輸液による高クロールが悪いのか、病態としての高クロール血症が悪いのかもわからない。
  • 酸塩基平衡の観点からは、ナトリウムとクロールは同じ方向に動く。その意味で、ナトリウムに関するデータが全くないため、結果を考察しにくい。
  • Fig 1では、高クロール血症の患者でCRRTとなる時期が早いことを示しているが、酸塩基平衡に関するデータがなく、単にアシドーシスが併発しCRRTとなったのではないかと予想できる。 
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木村聡
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