Mills KI, Kaza AK, Walsh BK, Bond HC, Ford M, Wypij D, Thiagarajan RR, Almodovar MC, Quinonez LG, Baird CW, Emani SE, Pigula FA, DiNardo JA, Kheir JN.
Phosphodiesterase Inhibitor-Based Vasodilation Improves Oxygen Delivery and Clinical Outcomes Following Stage 1 Palliation.
J Am Heart Assoc. 2016 Nov 2;5(11):e003554. doi: 10.1161/JAHA.116.003554. PMID: 27806964; PMCID: PMC5210357.
背景
- HLHSに対するstage 1術後に全身血管抵抗(SVR)を低下させることは、肺血流(PBF)に対し全身血流(SBF)を増加させ、後負荷を減少させ心拍出量を増加させることで、術後の心停止や動静脈酸素飽和度の差を低下させると考えられる。
- Sano modificationにより、右室腔内にリングを入れ込むことで、PBFへの抵抗が低くなるため、SVRの低下はより重要になる可能性がある。
- 当施設では、2014年にSVRを低下させるようなプロトコルを作成したため、その結果を評価をしてみた。
要点
- 単施設、前後ろ比較研究、Stage 1術後
- プロトコル前(n=32)とプロトコル後(n=24)で、DO2やVO2、SVR、急変率などを比較。
- プロトコル導入後、SVR、乳酸、Sa-vO2較差は有意に低下。緊急ECMO導入率も低下。
Figure 3. プロトコル導入前後で、体血管抵抗、乳酸、E-CPRを比較

注意点・コメント
- プロトコル前後で、どこがどう変わったのかが不明。結果的にSVRが低下しているが、プロトコル導入のため低下したのか、患者の状態が良いから末梢血管が収縮していないのかわからない。
- Aorta clamp時間がプロトコル導入後短くなっており、これも交絡因子となる。
- 以上のようなlimitationがあるが、RV-PA shuntでミルリノンなどによりSVRを低下させた方が良いという提言にはなるだろう(ちなみに、プロトコルにおけるカテコラミンの第一選択はエピネフリン)。
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