コヘルツ論文セレクション 
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循環

新生児のECMO患者における十分なサポートと残存病変

Howard TS, Kalish BT, Wigmore D, Nathan M, Kulik TJ, Kaza AK, Williams K, Thiagarajan RR. Association of Extracorporeal Membrane Oxygenation Support Adequacy and Residual Lesions With Outcomes in Neonates Supported After Cardiac Surgery.

Pediatr Crit Care Med. 2016 Nov;17(11):1045-1054. doi: 10.1097/PCC.0000000000000943. PMID: 27648896.

背景

  • 近年、心臓外科術後にECMOを装着されることが増えてきた。
  • ECMOの影響、残存病変の影響、残存病変への介入の時期と、予後との関連は不明。

要点

  • 後ろ向き、単施設、日齢28未満の新生児、心臓手術後にECMOを装着された患者、n=84 (/948 neonates)
  • 年齢の中央値は5.5日。生存/死亡に関わる因子を評価。
  • 妊娠36週未満、ECMO前のpHが7.17以下、ECMO前の心血管作動薬の使用、ECMO装着時間が168時間以上、72時間未満の乳酸改善なし、残存病変の存在が、多変量解析後も独立因子であった。カテーテルや残存病変への介入時期については差なし。

注意点・コメント

  • Primary predictorとして乳酸が2mmol/L以下となるまでの時間を調べてているが、Data drivenとして中央値を用いており、そのカットオフは72時間と長い。72時間以内に改善しない、または残存病変があると予後が悪いということは、臨床上の感覚と一致する。
  • 早期のECMO装着が唱えられている昨今、カニュレーションのタイミングが予後に関わるか否かを知りたいところであるが、ECMO装着前のpHがその一つか。ただし、多変量解析に(ECMO装着前だけでなく)ECMO装着後の変数も含んでおり、この結果がそのまま「pHが低いと予後が悪い」という因果推論にはならない。
  • 遺伝子異常のある患者の死亡率は100%、multiple ECMOの死亡率は90%であることも特筆すべき。
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木村聡
小児心臓麻酔や集中治療に関わる文献を、浅く、でも少しだけ掘り下げて紹介したいと思います。