コヘルツ論文セレクション 
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呼吸

Fontan術後の手術室抜管を目指した結果

Kawaguchi A, Liu Q, Coquet S, Yasui Y, Cave D. Impact and Challenges of a Policy Change to Early Track Extubation in the Operating Room for Fontan.

Pediatr Cardiol. 2016 Aug;37(6):1127-36. doi: 10.1007/s00246-016-1406-7. Epub 2016 May 9. PMID: 27160099.

背景

  • Fontan術後の早期抜管は血行動態としては利点があるが、出血や呼吸不全による再挿管のリスクを高める。
  • 再挿管は予後不良の危険因子である。

要点

  • 単施設、後ろ向き研究、practice policy導入前後比較研究、0-17歳、n=127
  • Policy導入前後で、PICU滞在日数や再挿管を比較。Propensity scoreを計算し、5カテゴリーに分けて交絡因子を調節。
  • Policy導入前と比べて有意にICU抜管が減った(97.5% vs. 15.0%)。Policy導入後で心拍数が低下し血圧が上昇したあ(Fig 2)。GLMではPICU滞在日数が導入後に有意に減少したが、ITSでは変化なし。再挿管の原因を評価したroot cause analysis (RCA)では、policy導入前は血行動態の不安定が原因のことが多かったのに対し、policy導入後は出血が原因のことが多かった。

Fig 2

注意点・コメント

  • 7年間にわたる研究であるが、generalized linear regression (GLM)だけでなく、interrupted time series (ITS)を用いて解析しており、単純な前後比較ではない時間経過とPICU滞在日数の変化がわかる。
  • 本研究や近年の研究より、少々血行動態が悪くても抜管で改善する可能性がある。しかし、本研究にあるように再挿管の理由が出血であることが多いため、早期抜管を実践する場合には術後出血に特に注意する必要がある。
  • 外科医は1名加わっただけ、麻酔科医は同じ4名、dexmedetomidineといった新しい薬も導入していない、など、詳細に記載されている。手術や麻酔に関する多くのデータがあるが、実際に用いられた麻酔薬の種類や量はまでは不明。
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木村聡
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