コヘルツ論文セレクション 
小児心臓・集中治療に関わる研究を簡単かつ少しだけ読み込んで紹介するブログ
輸液・電解質

小児心臓手術後の輸液バランスと予後との関連

Lex DJ, Tóth R, Czobor NR, Alexander SI, Breuer T, Sápi E, Szatmári A, Székely E, Gál J, Székely A.

Fluid Overload Is Associated With Higher Mortality and Morbidity in Pediatric Patients Undergoing Cardiac Surgery.

Pediatr Crit Care Med. 2016 Apr;17(4):307-14. doi: 10.1097/PCC.0000000000000659. PMID: 26914622.

背景

  • Fluid overload (FO)は、死亡やAKIなど様々な予後不良因子として近年注目されている。
  • 成人では10%をカットオフとして用いられることがある。
  • 心臓外科術後の小児に関する知見は乏しい。

要点

  • 単施設、後ろ向き研究、開心術を受けた18歳未満
  • 体重あたりのFluid overload (FO)を術当日から術後2日目まで計算し、死亡・LCOS・長期人工呼吸器の危険因子か否かを調べた。また、FOの危険因子も調査。
  • n=1520。術当日のFOは、死亡(OR 1.14, 95%CI 1.008-1.3.3)、LCOS (OR 1.21, 95%CI 1.12-1.30)と関連。この関連は術後1,2日目と経つにつれて減少。クレアチニン値やVIS、術中出血は5%以上のFOの危険因子。

Figure 2. Survival according to different. severities of cumulative fluid. overload (FO)

注意点・コメント

  • 上記アウトカムを予測するため、AICを元にbackward stepwise selectionでモデルを作っている。しかし、なぜかFOを(最初ではなく)final modelが出来上がった後に加えている。colinearilyなどへの対応が落ちる可能性。
  • 術前・術中の変数も多く、交絡因子もかなり調整できていそうであるが、あくまで因果推論(FOが予後を悪化させている)ではなく予測モデルで「FOが独立予測因子」としているのが、ある意味ずるい。批判しにくい。
  • LCOSの診断が、(集中治療医と循環器内科医が独立して行なっているが)主観的。
ABOUT ME
木村聡
小児心臓麻酔や集中治療に関わる文献を、浅く、でも少しだけ掘り下げて紹介したいと思います。