Keyl C, Staier K, Pingpoh C, Pache G, Thoma M, Günkel L, Henschke S, Beyersdorf F.
Unilateral pulmonary oedema after minimally invasive cardiac surgery via right anterolateral minithoracotomy.
Eur J Cardiothorac Surg. 2015 Jun;47(6):1097-102. doi: 10.1093/ejcts/ezu312. Epub 2014 Aug 14. PMID: 25123672.
背景
- Minimally invasive cardiac surgery (MICS)は、側開胸で行う創部の小さい低侵襲心臓手術である。
- 術中は片肺換気を要し、人工心肺離脱後に片肺肺水腫(Unilateral pulmonary edema: UPE)を呈することがある。
- 肺の再膨張、人工心肺などによる炎症、虚血再灌流障害、術中の肺外傷、牽引、肺静脈の圧迫・灌流障害などが原因として示唆されている。
- この施設では2013年にdexamethazoneを予防的に投与するようになったので、UPEの発生率とその効果を比較した。
要点
- 単施設、前後比較研究、18歳以上、2018-2013年でMICSを施行された患者
- 2010年にUPE予防のためdexamethasone 1mg/kgを麻酔導入時に投与するよう施設として取り決め。その前後でUPEを比較。また、UPEの危険因子を評価。
- n=484。38名(7.9%)がUPEとなり、1.5%が症状を呈した。UPEの発生率や4.0% vs. 12.9%と、dexamethazone群で有意に減った(p<0.001)。Logistic regressionでも、dexamethasone (OR 0.28)、糖尿病(OR 3.17)、平均肺動脈圧(OR 1.05 per mmmHg)、FFP (OR 2.31)が有意にUPEと関連。
注意点・コメント
- UPEの診断基準が不明瞭。「24時間以内のレントゲンで」としか記載されておらず、誰が、何人で、いつ、何回、blindの有無、どの評価基準を用いて診断したか不明。前後比較研究であり、dexamethazone非投与群での意識的なUPEの診断があってもおかしくない。
- Logistic regressionでの交絡因子の調整が十分でない。例えば、人工心肺後のUltrafiltrationの有無や、輸液量、片肺換気時間などは、交絡因子と考えられるが、モデルに入っていない。
- 一方で、交絡因子であるべきでない術後の因子(術後CRPや人工呼吸期間など)がモデルに入っており、不適切。
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