Scherptong RW, Hazekamp MG, Mulder BJ, Wijers O, Swenne CA, van der Wall EE, Schalij MJ, Vliegen HW.
Follow-up after pulmonary valve replacement in adults with tetralogy of Fallot: association between QRS duration and outcome.
J Am Coll Cardiol. 2010 Oct 26;56(18):1486-92. doi: 10.1016/j.jacc.2010.04.058. PMID: 20951325.
背景
- ファロー四徴症(TOF)根治術後、肺動脈逆流症(PR)は大きな問題点の一つであり、肺動脈弁置換術(PVR)が施行される。
- QRS幅は、TOF術後の右室機能と密接に関連し、予後と関連することが示されている。
- 術前術後のQRS幅の変化について調べた研究は少ない。
要点
- 前向きコホート研究、小児期にTOFに対して根治術を施行された成人
- 術前と術後6ヶ月での12誘導ECGで、QRS幅を計測。Adverse events(死亡、PRに対する再手術、症候性心不全、心室性不整脈)を比較
- n=90。平均5.5±3.5年のfollow-up。13のadverse events。5年event free生存率は、術前QRS>180msで76%、術前QRS<=180msで90%(p=0.037)。5年event free生存率は、術後QRS>180msで71%、術前QRS<=180msで91%(p=0.04)。多変量解析では、術後QRS>180msと術後QRS幅の低下なしが、独立危険因子。
Figure 3. それぞれのタイミングのQRS幅とKaplan-Meier曲線

注意点・コメント
- 9名は心電図がないため除外されて解析されている。重症(または軽症)の患者が6ヶ月後に心電図を計測していないかもしれず、selection bias。
- TOF術後の右室の脱分極・再分極は、右室内容量と右室機能と関連する以上、予想されうる結果。
- QRS幅単体としてはそれなりに良いマーカーであると考えられるが、全ての患者で当てはめられるかわからない。例えば、小児期の根治術の年齢、術式(transannular patch, RV patch, RVPA conduit, or no patch)といった、予後と関連する因子で分けられておらず、ある特定の患者・術式群では関連しない可能性も十分ありうる。
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