コヘルツ論文セレクション 
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インターベンション

Glenn術後の前方流とFontan手術時の循環動態

Gray RG, Altmann K, Mosca RS, Prakash A, Williams IA, Quaegebeur JM, Chen JM.

Persistent antegrade pulmonary blood flow post-glenn does not alter early post-Fontan outcomes in single-ventricle patients.

Ann Thorac Surg. 2007 Sep;84(3):888-93; discussion 893. doi: 10.1016/j.athoracsur.2007.04.105. PMID: 17720395.

背景

  • Glenn手術で肺動脈からの肺血流(antegrade pulmonary flow: APBF / forward flow)を残す方法がある。
  • 利点は、酸素化上昇、肺動脈の成長、側副血行路形成抑制、欠点は、中心静脈圧上昇、心室容量負荷など、と言われている。
  • その真偽について調べた。

要点

  • 単施設、後ろ向き研究、単心室、Glenn前にAPBFあり、Fontanまで施行された患者
  • Group 1 (n=39): Glenn後もAPBF維持。Group 2 (n=21): Glenn時にAPBF消失。
  • Group 1の方が、Glenn前の肺動脈圧が高かった。Fontan前までfollow-upすると、Group 1の方が肺動脈圧が高く、動脈血酸素飽和度が高く、コイル塞栓を要した側副血行路が少なかった。Nakata indexはgroup 1でGlenn前とFontan前で差はなかったが、group 2ではFontan前に低下していた。

Table 3. Fontan前のカテーテル検査結果

注意点・コメント

  • Glenn後もforward flowを残すことで期待された結果との関連性が確認できているが、著者が書いているようにforward flowの是非については評価していない。
  • すなわち、患者背景に差があり、それらを調節した解析を行っていないため、APBFによる効果か否か不明。
  • 肺動脈圧や酸素飽和度といったパラメータではなく、本当に問題とすべきなのは運動耐容能やCVP上昇による蛋白漏出性胃腸症といった予後。
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木村聡
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