Hoffman GM, Tweddell JS, Ghanayem NS, Mussatto KA, Stuth EA, Jaquis RD, Berger S.
Alteration of the critical arteriovenous oxygen saturation relationship by sustained afterload reduction after the Norwood procedure.
J Thorac Cardiovasc Surg. 2004 Mar;127(3):738-45. doi: 10.1016/s0022-5223(03)01315-1. PMID: 15001902.
背景
- 単心室疾患では、酸素飽和度が高いと結果的に酸素供給量が低くなると考えられている。
- 酸素需要供給バランスをSaO2 – SvO2で代用し、phenoxybenzamineにより体血管抵抗を低下させた際に、動脈血酸素飽和度の上昇が本当に酸素供給量低下につながるかを調べた。
要点
- 単施設、前向き研究のデータベースを用いたサブ解析、左心低形成症候群に対しNorwood手術が行われた新生児
- Phenoxybenzamineを投与された患者(n=62)と、投与なし(コントロール群:n=9)で、動静脈血酸素飽和度較差やSaO2を始めとした血行動態パラメータを比較。
- コントロール群では、SaO2 77%をピークとして動脈血酸素飽和度の上昇とともにSvO2は低下し、動静脈血酸素飽和度較差も上昇した。Phenoxybenzamine群では、SaO2とSvO2の間に直線的な関係を認め、動静脈血酸素飽和度較差は一定であった。
Figure 2. 両群におけるSaO2とSvO2の関係

注意点・コメント
- 単心室疾患では、酸素供給量を上げるためにQp/Qsのバランスをとらねばならず、酸素供給量という点で高すぎる酸素飽和度は避けられてきた。しかし、本研究では、体血管抵抗を下げることによって動脈血酸素飽和度が高くても構わない(もしくは良いかもしれない)ことが示された。この結果は、体血管抵抗を下げることによりQsの絶対値が上昇したことによるのであろう。
- 体血管抵抗を下げるためにphenoxybenzamineを投与しており、実際にコントロール群のほうが体血管抵抗は高いが、コントロール群の方がノルアドレナリンの使用量が少なく、ニトロプルシドの使用量が多いことで、何の影響かぼやけてしまっている。
- 一人の患者から複数回サンプリングしており、それぞれのデータの独立が保たれておらず、結果はバイアスがかかる。
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