コヘルツ論文セレクション 
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循環

先天性心疾患術後のLCOSとミルリノンの効果

Hoffman TM, Wernovsky G, Atz AM, Kulik TJ, Nelson DP, Chang AC, Bailey JM, Akbary A, Kocsis JF, Kaczmarek R, Spray TL, Wessel DL.

Efficacy and safety of milrinone in preventing low cardiac output syndrome in infants and children after corrective surgery for congenital heart disease.

Circulation. 2003 Feb 25;107(7):996-1002. doi: 10.1161/01.cir.0000051365.81920.28. PMID: 12600913.

背景

  • 開心術後のLCOSは、典型的には6-18時間後に発生し、虚血再灌流障害、心筋保護、炎症反応、残存病変など、様々な理由による。
  • LCOS予防のための、ミルリノンの効果を調べたい。

要点

  • 多施設(北米31施設)、ランダム化比較試験、6歳以下、人工心肺を用いた開心術後、PRIMACORP trial。
  • ICU入室後90分以内にランダムに3群に振り分け。低用量群:25mcg/kgのボーラス後0.25mcg/kg/minを計36時間、高用量群:75mcg/kgのボーラス後0.75mcg/kg/minを計36時間、プラセボ。Primary outcomeは、術後36時間以内の死亡とLCOSのcomposite outcome。
  • n=238。LCOS発生率はプラセボ、低用量、高用量群でそれぞれ25.9%, 17.5%, 11.7%。高用量群は、プラセボと比較し有意にLCOS発生を減らした(p=0.023 in n=238, p=0.007 in n=227 without major protocol violence)。

Figure 2. 術後36時間のLCOS/death

注意点・コメント

  • LCOSの診断基準にやや不安がある(protocol論文で詳細に定義が書いてあるが、それでも、動静脈血酸素飽和度格差拡大や乳酸値だけでなく、頻脈や四肢の冷感といったカットオフのない項目あり)が、RCTなので大きなバイアスは生まないだろう
  • 比較的難易度の高い手術も多く含まれ、人工心肺の中央値も2時間以上であり、LCOS発生率も比較的高いため、ミルリノンの効果が出そうな患者を相手にしている。
  • 低用量でも効果はありそうであるが、統計学的にはプラセボと比較し有意差なし。0.75mcg/kg/minという量を使用することの意義を強調する研究。また、Figure 4にあるように高用量では血圧が低下するが、低用量とそこまで大きな差もなく、36時間後にはプラセボと同じである。血圧が時間とともに戻るのは、後負荷軽減による心拍出量増加によるものか。
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木村聡
小児心臓麻酔や集中治療に関わる文献を、浅く、でも少しだけ掘り下げて紹介したいと思います。